2016年6月28日 6月の同朋の会が開かれました。
先月は中止でしたので、2ヶ月ぶりの会でした。
今回は、副住職がお話しさせて頂きました。
正信偈のお勤めのあと、仏法を聞き、語り合うつどいです。毎回内容が異なりますが、お話・輪読(本を読む)・ビデオ鑑賞を通して、お念仏の教えを聞いてまいります。 毎月28日夜7時から9時 10月は休止 12月は18日
次回は7月28日です。午後7時~9時頃 どなたでもご参加できます。お時間にお寺までお越し下さい。
稱名寺では年に2回(春と秋)に『稱名寺通信』として、寺報(お寺の広報紙)を発行しております。その中で、2014年の秋から稱名寺門徒の浅間恒雄さんに、「稱名寺とその周辺の植物」と題して、境内や山門前の春風公園にある植物の解説をご寄稿いただき、紹介いたしております。
今回の記事は、稱名寺通信第7号(2015年9月発行)からの転載です。
昨年の春から今年の五月までのほぼ一年間にかけて稱名寺の境内と春風公園に生育する植物を調査した結果、在来種以外にも植栽種や帰化種を含めて七十九科二百二十種前後の植物が確認されました。今回はその中から境内に生育しているヤブカンゾウとシキミについて紹介します。
「ヤブカンゾウ」 和名は中国名の萱草(カンゾウ)に由来する多年草。中国ではこの花を見て憂いを忘れるという故事があり、「忘れる」に萱の字を宛てることからこの名前が付けられたとのことです。また、日本では「忘れ草」として、数多くの大和歌の題材として使われています。ヤブカンゾウは七月ごろ写真のとおり八重の橙色の花をつけますが種子は出来ず根茎から横に伸びる枝を出して増えます。
日本では人家の周辺に多く生育しており、もとは中国の原産のものが、栽培植物とともに移入されて分布を広げたものと推測されます。境内に多く植えられているヒガンバナと同様に有史以前に帰化した植物という意味で史前帰化植物と考えられています。稱名寺では御門を入った左側のアメリカノウゼンカズラの根元に植わっています。
話は変わりますが「忘れ草」の対照の意味を持つ植物では、「忘れ名草・ワスレナグサ(ムラサキ科)」、「思い草・シオン(キク科)・ナンバンギセル(ハマウツボ科)」などがありますが、いずれも稱名寺や春風公園では見ることはできない植物です。
「シキミ」 日本各地の山林中に生育する常緑小高木で仏壇や墓に供えたりして、仏事に多く使用されることからお寺さんとの係わりの深い植物ですが、一般の庭には植えないようです。稱名寺では釣鐘とお墓の間に植わっています。前回のカラタネオガタマの解説の際に触れた榊の一つとして昔から利用されてきた低木の一つですが、供花に代用したことから花榊と呼ばれていたようです。
シキミという和名は有毒であることから「悪しき実」のアの字がとれたものという説や、「臭き実」と意味からという説など、いずれも実の性質からの由来です。葉や枝にも独特の香りがあり、線香の原料として利用されています。
同じ属のトウシキミの実は八角(スター・アニス)として中国料理の香辛料として利用されていますが日本のシキミは有毒で食べると死亡することもあるので要注意です。
※参考文献
新訂牧野新日本植物圖鑑、2000、北隆館
世界有用植物事典、1989、平凡社