「春のお磨みがき奉仕」兼「4 月の同朋の会」

2021年4月28日

お磨き奉仕と4月の同朋の会を合わせて、開催しました。

お磨きは今回もマスク着用の上、作業するスペースを2箇所に分け、席の間隔を広げて換気をしながら、午前9時から2時間ほど行いました。一つ一つ丁寧に磨かれた仏具を荘厳し、永代経法要(5月9日)が勤まります。
お磨き終了後休憩を挟み、11時頃から昨年12月以来、久しぶりの同朋の会とし、勤行・法話、お昼に散会とする日程でした。ご参加いただいた方々、お疲れ様でした。ありがとうございました。

お磨き奉仕は年2回です。次回は10月の報恩講前に行う予定です。

※5 月の「同朋の会」は休会です。6月は28日(金)午後2時よりを予定しています。現在同朋の会は、人数把握のため、いつもお越しの方にのみのご案内とさせていただいております。参加をご希望の方は事前にお問合せ下さい。

稱名寺とその周辺の植物(10)

稱名寺では年に2回(春と秋)に『稱名寺通信』として、寺報(お寺の広報紙)を発行しております。その中で、2014年の秋から稱名寺門徒の浅間恒雄さんに、「稱名寺とその周辺の植物」と題して、境内や山門前の春風公園にある植物の解説をご寄稿いただき、紹介いたしております。
今回の記事は、稱名寺通信第15号(2019年10月発行)からの転載です。

 

稱名寺とその周辺の植物(10)

今回は、稱名寺の庭や春風公園に生育するシダ植物について解説します。種としてはイヌワラビについて解説しますが、その前にシダという大きな分類群の名前の由来について触れてみたいと思います。

これまで本紙に紹介した十八種類の植物は花の咲く顕花(けんか)植物でしたが、シダ植物は花の咲かない陰花(いんか)植物で、葉裏の胞子嚢から飛散する胞子から無性生殖によって増殖します。漢字であらわすと羊歯(ヤウシ)と書きますがこれはシダ植物の細かい鋸歯の連続する形状を羊の歯にたとえて表したものです。これは漢語ですから、大和言葉あるいはそれ以前の古語のシダの本来の意味を説明するものではありません。
語源に触れた文献では「シダの和名辞典(中池敏之」に「シダは『葉が垂れる』の意味との説あり。」との記述があります。シダレザクラやシダレヤナギなどの語頭の音を同じくする重要な指摘と考えられます。確かに若い羊歯の葉が展開するときには、葉の先が柔らかいためにしだれる形を示すことは、よく観察できます。
また、「語源辞典植物編(吉田金彦、2001)」では「下に垂れる意のシダル(垂)の語幹から名詞になったと考えてよい。」ほぼ前説と同じ見解となっています。
このような語源説が唱えられるなかで、私なりにシダの語源について考察してみました。私が秋田県の鳥海山麓にて調査をしていた折りに、シダミ沢という地名があり、地元の人に聞くと楢の実のある沢という意味であることを知りました。楢(主にミズナラ)の実は縄文時代には重要な食糧源であったことと、稲作の始まったそれ以降の時代でも凶作の時の飢饉食として重要な役割を担っていたと考えられます。そのシダミと植物のシダの音の一致は偶然なのでしょうか?
楢の木をシダというほかに、クヌギやトチノキもシダ・シダミと呼ばれたという記録があることから、これらの木々からは丸い実が獲れ、食用になるという共通点があります。また、スダジイという実をあく抜きせずに直接食べることのできる常緑樹も「スダ」と呼んだとのことで、音韻変化「シ→ス」があるとすればスダジイもシダジイであって、丸い実の食べられる木の代表であったかもしれません。
では、木でもないシダ植物が何故丸いのかということを考えてみると、多くのシダ植物は春先の芽だしのときは丸い渦巻き形をしている(下はイノデ類の芽だしの写真)のです。縄文人はこの丸い渦巻き形の中に、春に葉を展開する生命力を感じていたのではないでしょうか。その形状を食べられる動植物の分類に使用したのではないかと考えます。

前川文雄の「植物の名前の話」の中に食べられる貝の名前を木の実の識別に当てはめる話が掲載されています。マテバシイ、スダジイ、ツブラジイの三種についてマテガイ、シタダミ(巻貝)、ツブガイ(タニシ)をあてており、スダとシタダミとの関連を示唆しております。
これらのことからシダの音をもつ木の実や貝の形状からは下に垂れる姿は想像できませんので、シダそのものの示す意味は丸い螺旋形の食物を示すものだったという仮説を提唱したいと思います。
残念ながら「しだ」と「渦巻き状に丸い」ということ直接示す言葉を見つけることはできませんが、狩猟生活を続けた日本人の祖先の一つである旧モンゴロイドの人々の言葉からそのヒントを得られるかもしれません。アイヌや琉球人の祖先、あるいは南北アメリカ大陸の先住民族であるインディアンやインドネシアなどの南部モンゴロイドの古い言葉にその痕跡を見つけることができるかもしれません。今後に期待したいと思います。

イヌワラビ(末尾写真)

写真は稱名寺の境内の庭に生えていたものですが、おそらく、春風公園の低木類の密植された植え込みの中にも生育しているものと考えられます。稱名寺と春風公園に見られるシダ植物は少なく、これまでに三種しかみつかっておりませんが、その中で最も普通にみられるものがイヌワラビです。イヌはどこにでも生えている意味の他に、偽物、利用できない、つまり食用にはならないという意味があります。山菜のワラビは藁に火をつけて燃やした跡に多く出ることによる説と若芽が子供の手(童手=わらびて)に似ていることからワラビになったという説などがありますが、このイヌワラビは本当のワラビとは関係の薄い種類です。

※引用・参考文献
日本国語大辞典(昭和55年1980縮刷版)
新訂牧野新日本植物圖鑑、牧野富太郎、2000、北隆館
世界有用植物事典、1989、平凡社
樹木大図説。上原敬二、1969、有明書房
植物の名前の話、前川文雄、1981、八坂書房
語源辞典植物編、吉田金彦、2001、東京堂出版

「春のお磨みがき奉仕」と「4 月の同朋の会」について

今年は、4月の同朋の会と永代経法要の日が近いため、以下のように実施致しますのでご連絡申し上げます。

「お磨みがき奉仕」は「4 月の同朋の会」と兼ねて実施します
―― 4 月 28 日(水)午前9時から昼頃迄 ――
(ご参加可能な時間だけでも結構です。)

■お磨き奉仕
9 時から 11 時頃 仏具磨きのみとします。※作業しやすい服装でお越し下さい。
■4 月の同朋の会
11 時より勤行・法話、正午には終了予定です。※参加費は必要ありません。
※5 月の「同朋の会」は休会です。

永代経法要のご案内2021

 永代経法要のご案内

日時 2021年5月9日(日)

※今年の永代経法要は内容や日程に大幅な変更がありますので、ご注意下さい。
※感染症の状況により、直前で内勤め(参詣なし)に変更する可能性があります。その場合は、ホームページへ掲載の上、申し込みいただいている方へは直接ご連絡致します。

日程・詳細は下の画像をクリックしてPDFをご覧下さい。
お磨き奉仕は4月28日(水)に行います。永代経法要ご案内裏面に詳細があります。

ご門徒には郵送にてご案内しております。どなたでもお参りいただけますが、今回は参詣人数に制限があります。ご希望の方は、お寺までお問い合わせ下さい。

永代経法要のご案内2021

花まつり2021

4月8日~11日に、本堂前に花御堂をお飾りし、誕生仏を安置致しました。
一昨年までは、大勢のお子様をむかえ、賑やかに開催していました稱名寺の花まつりですが、感染症予防のため、以前のような形での開催は中止とさせていただきました。
今年は上記日時に
花御堂を安置しご自由にお参りいただけるよう準備し、特に土日は、お子様連れでお参り下さっている姿が、見受けられました。

「花まつり」について

花御堂(はなみどう) 安置 日時

 4月8日(木)~10日(土)  午前10時より午後4時

※11日(日)までに変更しました。時間は同様です。

 境内 本堂前

 ※風が強い日など荒天の場合は玄関内

「花まつり」について

 4月8日はお釈迦(しゃか)さまの誕生日(花まつり)です。今から2500年ほど前の4月8日、お釈迦(しゃか)さまは北インドの花園でお生まれになったといわれています。お生まれになった時に甘露(かんろ)の雨が降り注いだとの故事から、小さいお釈迦さまの像に甘茶をかけてお祝いする行事が「花まつり」です。お釈迦さまは、私たちに「あなたは、だれとも比べることのできない尊い存在なのです」と教えてくださっています。

 稱名寺のお子さま向け行事「花まつり」ですが、今年も一昨年までのような形での開催は中止とさせていただきます。楽しみにされていた方には、大変申し訳ありません。

なお、上記の日時に花御堂をお飾りし、誕生仏を安置致しますので、是非お参り下さい。

 稱名寺住職